「未来」オープンイノベーションミートアップ参加レポートを公開します

先端技術が集積するイスラエルのフィンテックベンチャー企業とのイノベーション推進を目的とし、10月24日に開催された「未来」オープンイノベーションミートアップ(イスラエル×フィンテック)に、未来事務局のメンバーが参加してまいりました。当日の参加レポートを公開いたします。

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イベント概要

日時 :2017年10月24日(火) 13:30〜16:20
会場 :三井住友銀行東館 ライジング・スクエア3階 SMBCホール
主催 :駐日イスラエル大使館
共催 :新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、株式会社三井住友銀行
協力 :Incubation & Innovation Initiative (III)

2017年10月24日(火)に三井住友銀行東館 SMBCホールにて「未来」オープンイノベーションミートアップ(イスラエル×フィンテック)が開催され、イスラエルのスタートアップに関心のある企業や自治体関係者等、多くの方々が参加されました。

基調講演では経済産業省 産業資金課 課長補佐 川地由也様より、同省が2017年5月8日に発表した「FinTechビジョン」の概要をご紹介頂きました。基調講演のポイントは以下の通りです。

経済産業省 川地様の講演のポイント

・Fintechはキャッシュレス化・電子化を加速し、お金のかたちを変化させるだけでなく、近年の仮想通貨の拡大やモバイル端末による決済・送金の急増等が示すように、使い方やお金の流れも大きく変化させる。またビッグデータ解析やAIを用いて時間を超えた新たなリスクの捉え方が現れた。

・Fintechを活用した新たな金融の担い手として、ベンチャー企業や非金融機関の参入が増加傾向にある。従来の金融機関にも様々な影響が現れている。

・日本では世界に比べてベンチャー投資額が小さく、特にFintech分野のベンチャー企業への投資が少ない。一方世界では、中国のFintech分野への投資が増加傾向にある。中国のFintechはE-Commerce(EC)事業から発生しており、EC事業で得た信用情報を元に新たなビジネス展開を行う事業者が出てきている。

・金融包摂(Financial Inclusion)が世界的なテーマになっており、これまで銀行口座を持たない成人が、Fintechによって金融サービスにアクセスできるようになりつつあり、彼らにどのようなサービスを提供するかについて関心が高まっている。

・英国や米国を中心にFintech分野での競争が台頭していることを受け、規制を含めたFintech事業の在り方が検討されている。
・FinTechビジョンではFintech社会の実現に向けた道筋として、
  1.FinTech普及の前提条件を整える
  2.「お金」の流れをデジタルで完結する
  3.中小企業等のFinTech活用を後押しする
  4.イノベーション(試行錯誤)を促す仕組み作り・環境整備を行う、 の4つの政策的支援を挙げている。

・Fintech社会実現に向け、
  1.キャッシュレス決済比率
  2.サプライチェーンの資金循環速度
  3.バックオフィス業務のクラウド化率の3点をKGI(Key Goal Indicator)としている。これらKGIは未来戦略投資2017においてKPI化している。

続いて、イスラエルイノベーションオーソリティのAsia Pacific Executive Director Avi Luvton氏より、イスラエルイノベーションオーソリティが世界の金融機関のイノベーション戦略を支援していること、日本においては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と覚書を調印し、日本―イスラエル研究開発協力事業を推進していることをご紹介頂きました。

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イスラエルから来日したフィンテック企業8社によるショートピッチが行われました(登壇予定のBondITは欠席)。8社の概要は以下の通りです。

イスラエルからの参加企業の概要

BitMint
2011年設立。通貨をデジタル化することで、自動的かつ安定的な決済取引を可能とするプロトコル・プラットフォームを開発。量子コンピュータでもハッキングされないほど高度なセキュリティーを誇り、不正やマネーロンダリングにも有効なツール。異なる国の通貨間の決裁も可能。

Chromaway
2012年設立。データベースとブロックチェーン技術をベースとしたコンソーシアムデータベース「Postchain」、ワークフローのミドルウェアである「Esplix」を提供。Explixはスウェーデン政府とパイロットプロジェクトにおいて、住宅売買時の取引アプリとして活用されている。Explixによって、3か月かかっていた手続きが1日、もしくは数時間で完了することが実証された。

I Know First, Ltd.
2009年設立。人工知能と機械学習をベースに、一日3,000銘柄以上の金融商品の予測アルゴリズムを金融機関に提供。短期~長期の投資ポートフォリオ戦略の検討や投機決定支援システムやとして活用されている。アルゴリズムはセルフラーニングで修正される。既にイスラエルでは大手銀行等にサービスを提供している。日本ではヘッジファンドや銀行と協業したい。

nummularii
2009年設立。金融機関や投資アドバイザー向けに、B2B投資アドバイザリーソリューションを提供。金融機関側がより多くの顧客に対し、それぞれの状況に応じたアドバイスを提供できることを可能にした。また顧客側はモバイルデバイスで常時どこでもアドバイスを取得できるだけでなく、顧客はクリック一つで投資を実行することも可能。イスラエルでは商業ベースでサービスを提供開始。

PayBox
2014年設立。モバイル決済プラットフォームを提供。PayBoxを通じて仮想預金口座を作ることで、企業やグループ、個人間の決裁が可能。フェースブックなどのSNSだけでなくメールアプリとも接続するため、利用者はSNS等で支払要求リンクを送付することが可能。既存の銀行サービスに統合することが可能。利用実績は毎月20%ずつ伸びており、これまでに3,000万ドル以上の取引実績がある。

PayKey
2014年設立。フェースブック・メッセンジャー、ワッツアップ、ツイッター等のSNSメッセージアプリでの会話を中断することなく、モバイル決済が可能な専用キーボード(モバイルペイメント・キーボード)を提供。既にスペインや南アメリカ銀行6行と協業済み、今後数か月で他の5行でも導入予定。PayPalが競合相手と認識だが、PayKeyはPayPalよりも適用できるSNSが多い。

PayMe
2014年設立。金融機関向けにホワイトラベルのワンストップ決済プラットフォームを提供。従来は独自の決済プラットフォーム構築には複数のサプライヤーが必要だったが、PayMeはこれを一元化。クレジットカード決済等だけでなく、請求書作成から発送、その他の付加価値サービスも提供可能。金融機関はどのサービスを取込むかをクリック一つで選択できる。イスラエルの銀行に導入実績がある。

Techfinancials Inc2009年設立。ダイヤモンドを取引可能な金融資産にするサービスCEDEX(Certified Diamond Exchange)を立上げた。ブロックチェーンの技術を用いて、ダイヤモンド鑑定書が不正なく即時に取引業者に引渡されるだけでなく、リアルタイムで価格設定する独自のプライシングにより、透明性が高く安心・安定的なダイヤモンド取引を可能にする。ダイヤモンドが金融商品として取引されると現在の350倍の取引市場が見込める。

ショートピッチの後、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より、日―イスラエル間でも協力覚書が締結されている「二国間研究開発協力」の枠組みについてご紹介頂きました。

閉会後はロビーで、イスラエルのフィンテック企業と日本企業が活発に名刺交換や意見交換を行いました。